虫歯の進行度と痛みについて
歯に黒い穴が出来たり、ズキズキとした痛みに襲われます。ここでは虫歯が引き起こすこうした「症状」について詳しくみていきましょう。
目次
1. 歯の構造
1-1.歯の組織と働き
歯の進行別症状の前に、歯の各組織の名称やその役割についてです。
①歯冠: 歯の表面に出ている部分です。 |
②歯根: 歯茎に隠れている部分です。 |
③歯髄: 歯の中心部に通っている神経の部分です。 |
④エナメル質: 歯の表面部分の組織です。人体の中でも特に硬く、外部から歯髄を守ります。 |
⑤象牙質: エナメル質の下の層にある組織です。再生能力があり歯髄を保護します。 |
⑥セメント質: 歯根の象牙質の表面を覆っている組織です。歯根膜と呼ばれる結合組織を繋ぎ止める役割をしています。 |
⑦歯根膜: 歯槽骨と歯根の間にある薄い膜です。「噛み応え」など歯に伝わる咬合力を調整する働きがあります。 |
⑧歯槽骨: 歯を支えている骨です。この歯槽骨や歯根膜が破壊されると、歯が抜けてしまうことがあります。 |
⑨歯肉: 歯茎と呼ばれる部分です。歯茎は歯槽骨を保護する働きがあります。 |
2. 進行度別症状
進行度はC0、C1、C2、C3、C4で分類できます。
この分類は歯科検診などで耳にしたことがあるかとは思います。
症状は段階に応じて異なります。
2-1.【C0】エナメル質表面がわずかに脱灰している状態
症状としては、痛みは無い
歯の表面を観察すると白っぽくなっている。透明感が無い。
虫歯の穴があるわけでは無い状態。
必ずしも治療をしないといけない状態ではない。
正しい歯磨きをすればこれ以上進行はしない。
これを放置するとさらに脱灰(菌が歯を溶かす事)が進行してC1の状態になる。
<ワンポイントアドバイス>
菌を増幅させるショ糖を避け、歯のエナメル質を強化してくれ
る歯磨き粉を使うなどすれば自身での対策が可能。ただし、「無
症状」とも言える初期のこの段階で自分で気づくこ
とはとても難しい。この段階で気づくためには、日ごろから歯
科検診に行くなど予防への強い意識を持っていることが大事で
ある。
2-2.【C1】エナメル質内部まで溶けた状態
症状としては、痛みは無い
菌、虫歯の酸がエナメル質内にある状態。
きちんと歯磨きをするなどすれば進行しない場合もある。
<ワンポイントアドバイス>
C0同様まだ初期という段階。虫歯は歯に穴が開いた状
態とされるため、穴が開くか開かないかの瀬戸際である。この
段階で食い止められれば今後痛むこともない。しかし、C0と
共に症状がほぼないこともあり、この段階でもまだ
自覚出来ないことがある。
2-3.【C2】象牙質に達した状態
治療が必要な状態
症状としては、冷たいもので痛みを感じる。
浸食の深さによっては熱いものでも痛みや違和感を感じる
絶対に治療しないといけない状態。
<ワンポイントアドバイス>
外部の刺激が伝わるようになっている状態で、やっと虫歯かも
しれないと考えるようになる。ただし、冷たいものが沁みると
感じ出したときにはすでにC2中程度に進行。歯科医
院での治療が必要となる。
2-4.【C3】歯の神経(歯髄)まで達した状態
症状としては、神経が生きているうちはずきずき強く痛む状態。ゆっくり進行した場合などまれに痛みを感じないこともある。
<ワンポイントアドバイス>
神経(歯髄)まで菌が達しており、そこで炎症が起きている。
ここまで来ると何もしていなくても、常にズキズキとした痛みに
襲われるようになり、日常生活にも支障が出てくる。
その場合は歯の神経が知らぬ間に死んでしまい、細菌が根の深くまで達してしまう。
根の先が膿んで、骨を溶かしてしまうことも多々ある。
この場合は根の治療(根を消毒して細菌を極力減らす治療)が必要となる。
根の治療の後は土台を入れたりして歯をかぶせることが可能。
2-5.【C4】歯が崩壊して、根だけの状態
根の先に出来ている病巣には細菌が巣くっている状態です。
体の免疫力が下がると急に腫れて著しい痛みが出ます。
また、常に骨を溶かしているので放置し続ければ根を支えている骨(歯槽骨)が無くなり
自然に根が抜けてしまいます。
<ワンポイントアドバイス>
人から見ても虫歯だと分かるような見た目になっていることが
多く、歯を見せても笑えなくなったりと精神的な面でも負担が出
てくる。
ひどい場合は抜歯です。
根が残せる場合は、根の治療をし、土台を入れて歯をかぶせる事が可能です。
3. まとめ
5段階に分けられる進行度ですが、C0からC4への進行スピードは人それぞれ違いますので、「C0をどれ
くらいの期間、放置するとC4になる」などの目安はありません。
さらに怖いのは進行しているにもかかわらず、無症状という状態が続くことにあります。自覚した
時にはC2となっておりあっという間にC3、C4の段階になってしまったというケースもあります。
20代でも総入れ歯の方が多くいるのが現実です。「まだ大丈夫だろう」が命とりですから、少し違和感
があるという段階で受信できれば症状の進行も食い止められます。