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虫歯菌は全身に回る? - 虫歯治療 | 歯医者・歯科

虫歯菌は全身に回る?脳・心臓・肺への影響

虫歯菌は全身に回る

「虫歯を放置すると、細菌が全身に回る」という話を耳にして、不安になって調べておられる方も多いと思います。

このページでは、虫歯の細菌が体のどこにどう影響しうるのかを、部位別に整理しました。

はじめにお伝えしておきたいのは、これらは「必ず起こる」ものではないということです。進行度や体の状態によって大きく異なります。過度に不安になる必要はありませんが、気になる症状がある場合は、自己判断せず歯科医院を受診してください。

1. 虫歯の細菌は、どのように広がるのか

虫歯が進行して歯の神経が死んでしまうと、歯の根の先に細菌が入り込み、膿がたまることがあります。

ここから先、細菌が広がる道筋は大きく2つあります。

以下、部位別に見ていきます。

2. 顎・首まわりへの広がり(歯性感染症)

歯の根の先に膿がたまった状態を放置していると、炎症が歯の周囲の組織へ広がっていきます。歯が原因で起こるこうした感染をまとめて歯性感染症と呼びます。

主な症状は次のとおりです。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

炎症が顎の下や首のほうへ広がり、その範囲の組織が広く腫れる状態です。腫れが広がると、飲み込みにくさや息苦しさが出ることもあります。この場合は速やかな受診が必要です。

外歯瘻(がいしろう)

外歯瘻(がいしろう)

根の先にたまった膿が出口を求め、顔の皮膚側に穴が開いて膿が出る状態です。歯の痛みがないまま起こることがあるため、原因が虫歯だと気づかれず、皮膚の症状として受診されるケースもあります。皮膚の処置だけでは治らず、原因となっている歯の治療が必要です。

3. 心臓への影響(心疾患をお持ちの方へ)

心臓への影響(心疾患をお持ちの方へ)

口の中の細菌が血流に入り込み、心臓の内側の膜に炎症を起こすこと(感染性心内膜炎)があります。頻度の高いものではありませんが、もともと心臓に病気をお持ちの方では、歯科処置の前に抗菌薬をお飲みいただく必要がある場合があります。

日本循環器学会の「2026年改訂版 感染性心内膜炎診療ガイドライン」では、出血をともなう処置——抜歯、出血をともなう口腔外科処置、インプラント治療、歯石の除去(スケーリング)、感染根管治療など——を受ける際に、対象となる方への予防的な抗菌薬投与が推奨されています。

一方、局所麻酔(感染していない部位への注射)、出血をともなわない詰める・被せる処置、レントゲン撮影、矯正の処置などは、菌血症が起こるリスクは低いとされています。

心臓の病気で通院されている方、手術を受けたことがある方は、初診時に必ずお申し出ください。必要に応じて、主治医の先生と連携のうえ治療を進めます。

[出典表記]

日本循環器学会日本循環器学会「2026年改訂版 感染性心内膜炎診療ガイドライン」(2026年3月20日発行)

4. 脳への影響について

脳への影響について

口の中の細菌が血流を通じて他の臓器に運ばれる可能性については、以前から研究が行われています。ただし、虫歯を放置したことで脳に重篤な影響が及ぶケースは、まれと考えられています。

「確率」を数値でお示しすることは、信頼できるデータが限られるため控えます。ご不安がある場合は、実際の状態を診たうえでご説明いたしますので、カウンセリングでご相談ください。

5. 呼吸器への影響(誤嚥性肺炎の予防という観点)

呼吸器への影響(誤嚥性肺炎の予防という観点)

食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまうこと(誤嚥)によって起こる肺炎を、誤嚥性肺炎といいます。このとき、口の中の細菌が一緒に運ばれることが、発症に関わると考えられています。

飲み込む力は年齢とともに低下するため、将来のことを考えると、口の中の環境を整えておくことが備えになります。虫歯や歯周病を治療し、口の中を清潔に保っておくことは、誤嚥性肺炎の予防という点でも意味があります。

日本呼吸器学会の「成人肺炎診療ガイドライン2024」でも、誤嚥性肺炎の予防として口腔ケアが取り上げられています。

虫歯を放置している状態は、口の中の細菌が増えやすい環境でもあります。今のうちに治しておくことが、将来の健康にもつながります。

[出典表記]

日本呼吸器学会「成人肺炎診療ガイドライン2024」
坂本春生・唐木田一成・関谷亮「肺炎予防と口腔ケア」日本内科学会雑誌 第103巻11号、2014年

6. 虫歯菌が全身に広がるのを防ぐために

虫歯や歯周病は、早期の治療や日々のケアによってリスクを減らすことができます。

お口の健康を守ることが、全身の健康にもつながります。

虫歯を早期に治療する

虫歯や歯周病は放置せず、早めに治療することで、細菌の増殖や全身への影響のリスクを減らすことができます。

定期的に歯科検診を受ける

痛みや違和感がなくても、定期検診でお口の中をチェックすることで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。

毎日の歯磨き・フロスを行う

丁寧な歯磨きとフロスの使用で、歯と歯の間や歯ぐきの境目の汚れを取り除き、細菌の増殖リスクを減らすことができます。

腫れや発熱などがある場合は早めに受診する

お口や顔の腫れ、発熱などの症状がある場合は、細菌が広がっている可能性もあるため、早めの受診が大切です。

虫歯や歯周病は放置せず、早めに治療することで、細菌の増殖や全身への影響のリスクを減らすことができます。

7. よくあるご質問

Q. 虫歯菌が脳に到達することはありますか?

まれと考えられています。「確率」を数値でお示しすることは、信頼できるデータが限られるため控えております。ご不安がある場合は、実際の状態を診たうえでご説明いたします。

Q. 虫歯が原因で命に関わることはありますか?

現代の医療では、虫歯の放置が直接の死因になることは稀です。ただし、根の先にたまった膿(根尖病巣)が急に悪化して蜂窩織炎が重症化したり、まれに敗血症につながったりする可能性はあります。また、心臓に持病をお持ちの方では、口の中の細菌が心内膜炎の原因になることもあります。顎や首の腫れ、発熱があれば早めに受診してください。

Q. 顔が腫れてきたのですが、すぐ受診したほうがよいですか?

炎症が広がっている可能性があります。速やかに受診してください。

Q. 顔の皮膚から膿が出ています。皮膚科と歯科のどちらへ行けばよいですか?

原因が歯にある場合(外歯瘻)、皮膚の処置だけでは治りません。原因となっている歯の治療が必要ですので、歯科にご相談ください。

Q. 心臓の病気があります。歯の治療を受けても大丈夫ですか?

初診時に必ずお申し出ください。出血をともなう処置の前に抗菌薬が必要になる場合があります。必要に応じて主治医の先生と連携して治療を進めます。

Q. 抗菌薬を飲む必要があるのはどのような場合ですか?

抜歯、歯周外科手術、インプラント手術、歯石除去、感染した根の治療など、出血をともなう処置を受ける際です。対象となるかどうかは状態により異なります。

Q. 口の中を清潔にすると肺炎の予防になりますか?

誤嚥性肺炎の予防として、口腔ケアが有用とされています。虫歯や歯周病を治療しておくことにも意味があります。

8. まとめ

いずれも、「必ず起こる」ものではありません。気になる症状がある場合は、自己判断せずご相談ください。

虫歯を放置するとどうなる?

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