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切端咬合の治療と保険診療について - 受け口 | 歯医者・歯科

切端咬合の治療は保険診療で受けられる?

公開日:2021年12月26日 最終更新日:2022年12月1日

監修:顧問指導医

現在の日本の健康保険制度では、病気の治療は保険診療の対象ですが、美容目的の治療は保険診療の適応外となっています。 歯並びを整える矯正治療は、美容目的とみなされるため、一般的に自費診療となっています。

一方、ごく一部の限られた症例では、食べ物をしっかり噛めないなどの理由から、病気の治療とみなされて保険診療の適応を受けています。
今回は、切端咬合の治療と保険診療についてお話しします。

保険診療で矯正治療が受けられるケース

現在、保険診療で矯正治療が受けられるケースは、次の3つだけです。
切端咬合の場合も同じです。

厚生労働大臣が定めた疾患によって生じたもの

厚生労働大臣が定めた疾患は、およそ60種類もあるので全てを記載するのは困難ですが、唇顎口蓋裂やダウン症候群、筋ジストロフィーなど比較的よく知られた病気もあります。

これら先天的な原因によって生じた歯並びの異常の改善に必要な矯正治療なら、保険診療で受けられます。

厚生労働大臣が定める疾患に原因のある反対咬合

3歯以上の永久歯が生えてこないことで生じたもの

3本以上の永久歯が生えてこないことによる反対咬合

埋まったまま生えてこないために、歯肉を切開して引き出さなければならない永久歯が3本以上あり、これによって生じた歯並びの異常です。
この場合も、歯並びの状態を改善させる矯正治療に保険診療が使えます。

顎変形症で手術が必要なもの

顎変形症による反対咬合

顎変形症とは、顎の骨格の形や大きさ、位置などに異常がある病気です。
骨格の異常により歯並びが悪くなり、上下の歯がしっかり噛めなくなっているので、矯正治療に加えて、顎の骨格の大きさや形を改善させる顎矯正手術が必要です。

保険診療で矯正治療を受けられるケースの中では、顎変形症を認める場合が最も多いと言われています。
切端咬合についても、顎変形症によって生じた切端咬合の治療なら、保険診療で受けられる可能性があります。

保険診療で矯正治療を受けられる歯科医院の条件

保険診療で矯正治療をするための施設基準

保険診療で切端咬合の矯正治療を受けるためには、受ける側だけでなく、歯科医院側にも一定の条件が定められています。

具体的には、レントゲン設備や検査機器に関わる条件や、そこに勤務している歯科医師や歯科衛生士などに勤務状態に関係する条件、他の医療機関との連携条件などです。

どの歯科医院でも受けられるというわけではなく、歯科医院も慎重に選ぶ必要があります。

保険診療での矯正治療の特徴

保険診療での矯正治療にはどのような特徴があるのでしょうか。

メリット

保険診療で矯正治療をするための施設基準

保険診療で矯正治療を受けられるメリットは、一般的な矯正治療と比べて治療費を抑えられるという点です。
しかも、税制上の医療費控除も受けられます。
医療費控除は全ての治療で受けられるわけではなく、矯正治療の内容によっては受けられないこともあります。

このように保険診療での矯正治療は、費用の点で得られるメリットがとても大きいです。

デメリット

顎変形症を治療するための施設基準

一方、保険診療で矯正治療を受けられるのは、ごく一部の症例に限られています。
また、顎の骨切り手術を受けなければなりません。

骨切り手術は、とても大掛かりな手術なので、入院して全身麻酔のもとで行われます。
手術後の腫れや痛みも強い手術になります。
この手術の前後に矯正治療が必要なので、トータルの治療期間が一般的な矯正治療と比べてかなり長くなるのも、デメリットと考えて良いでしょう。

切端咬合と保険診療

では、ここで切端咬合での保険診療について考えてみます。

適応になる可能性が低い

入院が必要

保険診療で矯正治療を受けるには、顎の骨格の大きさや形の不調和が認められなければなりません。
ところが、切端咬合の原因では、歯に原因がある歯性の歯列不正がほとんどです。
顎の骨格に原因のある骨格性の歯列不正は少なく、そもそも保険診療の適応となる可能性が低いのです。

治療期間が長くなる

保険診療での矯正治療では、顎矯正手術の前と後に歯並びを整える矯正治療を行います。
手術前の矯正治療に2〜3年、手術後の矯正治療に1年ほど、そして顎矯正手術の治療に要する期間が必要です。

このため、通常の矯正治療では治療期間は2〜3年ほどであるのに対し、保険診療の矯正治療では5年前後と治療期間が大幅に長くなってしまいます。

治療期間が長い

まとめ

今回は、保険診療と切端咬合の治療についてお話ししました。

保険診療で矯正治療を受けるには
①厚生労働大臣が定めた疾患によって生じた
②3歯以上の永久歯が生えてこないことで生じた
③顎変形症で手術が必要
のいずれかに当てはまることが求められます。

保険診療で切端咬合の治療を受けられれば、矯正治療の治療費を大幅に抑えることができます。
しかし、切端咬合の治療では、歯に原因のあるケースがほとんどで、保険診療の適応となる可能性は高くないです。

そして、治療期間も大幅に長くなるので、切端咬合を保険診療で受けるというのは現実的とは言い難いです。
それを踏まえて保険診療での切端咬合の治療に関心のある方は、まずは主治医の歯科医師にご相談になるといいでしょう。

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