インプラントと差し歯の違い
公開日:2021年12月26日 最終更新日:2022年12月1日
監修:顧問指導医 永山 幸
現在の歯科治療では、虫歯やケガなどで歯を失ったり歯が欠けたりしたところは、人工材料を使って治しています。
症状の種類が幅広いこともあり、歯科治療の方法はとても種類が多いのですが、”インプラント”や”差し歯”という治療法について耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
実際、しばしばどのような違いがあるのかというご質問を受けます。
今回は、インプラントと差し歯の違いについてお話しします。
インプラントについて
構造
インプラントは、3つのパーツで構成されています。
歯根部分にあたるインプラント、歯冠部分に相当する上部構造、インプラントと上部構造をつなげるアタッチメントです。
過去にはインプラントとアタッチメントが初めから一体化したタイプもありましたが、現在一般的なものは3つのパーツで作られています。
治療法の違い
インプラント治療は歯を失ったところに行われる治療です。
まず最初に、インプラントを顎の骨に埋め込む外科手術を行います。
周囲の骨がインプラントと一体化した頃合いに、上部構造を装着します。
保険診療の適応の有無

インプラント治療は、原則的に保険診療適応を受けていません。
インプラント治療=自費診療と考えていただいて間違いありません。
差し歯について
続いて、差し歯治療についてご説明します。
差し歯ではなく、歯冠継続歯という呼び方をされることもありますが、差し歯と同じ意味ですので、ここでは全て”差し歯”で表現します。
差し歯の構造
差し歯は、ポストコア(芯)とクラウン(被せ物)で構成されています。
インプラント治療に例えれば、ポストコアはアタッチメント、クラウンは上部構造にあたります。
では、インプラントは何に当てはまるのかというと、それは歯根です。
インプラントの上部構造にセラミッククラウンを使うと、色合いだけでなくその形も天然歯のように自然な美しさで治すことができます。
つまり、差し歯は、歯根という歯の根の部分を利用して被せ物を装着する治療ということになります。
言い方をかえれば、歯根がなければ、差し歯にすることはできないことがわかります。
差し歯の治療法
差し歯の治療は、歯根にまずポストコアを装着することから始まります。
ポストコアの種類は、金属製のメタルコア、グラスファイバー製のファイバーコア、コンポジットレジンというプラスチック材料などが主に利用されています。
歯型をとって作ることもあれば、歯根に直接盛り上げて作っていくこともあります。
ポストコアができあがれば、歯の形を整えて歯型をとり、クラウンを作ります。
出来上がったクラウンを装着します。
保険診療の適応の有無
差し歯治療は、クラウンが金属製、もしくはCAD/CAMというプラスチック製のものであれば、保険診療の適応を受けています。
なお、CAD/CAM冠は、原則的に第一大臼歯という前から6番目の歯までしか認められていませんのでご注意ください。
保険医療機関であれば、全国どこの歯科医院でも治療を受けることができます。
同じ差し歯でも、セラミッククラウンやゴールドクラウンは保険診療の適応を受けていません。
インプラントと差し歯の違い
では、次にインプラントと差し歯を比べてみましょう。
歯の有無
最も大きな違いが歯の有無です。
インプラントは、失った歯の代わりに埋め込むものですから、治療をするところには歯がありません。
一方、差し歯は、歯根を利用した被せ物ですので、歯があります。
歯のあるなしで、選択肢が大きく分かれるわけです。
手術の有無
インプラント治療は、顎の骨にインプラントを埋め込む外科手術が必要です。
埋め込んだインプラントに上部構造という歯冠部分を装着して噛み合わせを回復させるからです。
一方、差し歯治療では、外科手術は必要ありません。
確かに、歯根が歯周病などで弱っている場合に、歯周外科処置という手術をすることがありますが、歯根そのものに対する外科手術ではありません。
治療費の高低

インプラント治療は原則的に保険診療の適応を受けていません。
したがって、治療は自費になります。
差し歯治療は、審美性を気にさえしなければ、保険診療で受けることができます。
保険診療の基本的な負担割合である3割であれば、窓口で支払う金額はインプラント治療より2桁少ない金額で治ります。
インプラント治療と差し歯治療の治療費は、このように大きく違います。
まとめ
今回は、インプラント治療と差し歯治療を比べてみました。
二者の最も大きな違いは、そこに歯があるかどうかです。
インプラントは歯がないところに対する治療法、差し歯は歯根だけでも歯が残っているところに対する治療法です。
当院は、インプラント治療と差し歯治療の専門知識や治療経験の豊富な歯科医院です。
両者の違いに戸惑っている方、治療の適応があるかどうか知りたい方など、当院でぜひご相談ください。