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予後どれくらいもつのか【インプラント】

インプラントの予後
〜どれくらいもつのか〜

公開日:2021年12月26日 最終更新日:2022年12月1日

監修:顧問指導医

インプラント治療は、しっかり噛める上に、普通の歯のような美観を備えている優れた治療ですが、治療費が高額な上、外科的な侵襲も加わる治療でもあります。
このため、多くの方がどれくらいもつのかを気になさっています。

実際どれくらいもつのでしょうか。
今回は、インプラントの保ちについてお話しします。

インプラントの予後

インプラントの予後

実は、インプラントには寿命がありません。

確かに上部構造という歯冠部分が欠けることはありますが、骨の中に埋められたインプラントが破損することはまずありません。

日常の歯みがきや、定期的な歯科医院でのケアにより適切な状態を保つことができれば、予後が永久であることも十分あり得ます。
インプラント治療の生存率についてお話しします。

10年後のインプラントの生存率

10年後のインプラントの生存率

治療の予後を考える上でのひとつの指標が、『10年後の生存率』です。治療を受けてから10年後にどれくらいの割合で残っているのかという意味です。

生存率ではなく、残存率という表現がなされることもあるようですが、意味するところは同じです。
上顎で90%強、下顎で95%前後という100%に近い高い生存率を示しています。

メーカーの保証期間

メーカーのほとんどは、製造保証を5〜10年ほどの長期にわたってつけています。
家電や自動車などの工業製品と比べても、長期間の保証となっていることがわかります。

これは、人工歯根部分や人工歯根と人工歯を接続しているアバットメント部分の保証とされていることが多いですが、それでもメーカーが自信を持っていることの裏返しとも言えるでしょう。

メーカーの保証期間

ブリッジや入れ歯との比較

インプラント以外の歯を失った場合の治療法として現在行われているのが、ブリッジや入れ歯です。
ブリッジは、失った歯の前後の歯を利用して被せ物をつけることで噛み合わせを回復させる治療法です。
入れ歯は、残った歯にクラスプという金具をかけて安定を図る取り外しタイプの人工の歯です。

ブリッジの寿命はおおむね6〜8年、入れ歯のそれは5年前後と言われています。
比べてみれば予後の良さがおわかりいただけるのではないでしょうか。

ブリッジや入れ歯との比較

不具合の例

不具合の中で多いのが、次に挙げる3つです。

セラミッククラウンの破損

多くは、人工歯にセラミッククラウンが採用されています。
セラミッククラウンは、本物の歯と同じような光沢感、透明感をもつ審美性に優れた被せ物です。
一方、瞬間的に加わる強い力には弱く、割れたり欠けたりすることもあります。

普通の歯は、少しずつ動きます。
噛み合わせている歯が少し動いて、噛み合わせが変化し、インプラントに強い噛み合わせの力が加わるようになると、セラミッククラウンが割れたり欠けたりすることがあります。

セラミッククラウンの破損

アバットメントの緩み

インプラントは、歯冠部分の上部構造と歯根部分のインプラントで構成されています。
アバットメントとは、上部構造と歯根部分を接合しているパーツです。
コネクターというとわかりやすいかもしれませんね。

ここが緩むと、上部構造がグラグラと動き始めます。
あくまでも上部構造が動くだけなので、インプラントそのものはしっかりしていますから、締めなおせば元に戻ります。

アバットメントの緩み

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎は、プラークの中に潜んでいる細菌によってインプラントを支えている歯槽骨という骨が吸収されて減ってしまう病気です。
歯周病のインプラント版といった感じです。
進行すると、インプラントを支えられなくなり、グラグラと動きはじめ、やがて抜けてしまいます。

インプラント周囲炎

リスク要因

インプラントの予後に関係するリスク要因についてお話しします。

全身的な要因

全身的な要因

糖尿病や骨粗鬆症、リウマチ、肝臓病、腎臓病などの病気、悪性腫瘍に対する放射線治療なども全身的なリスク要因として挙げられます。
このほか、高血圧症、喘息、金属アレルギーなども、インプラント手術に影響すると言われています。

歯科的な要因

歯科的な要因

インプラントの予後に関係する歯科的なリスク要因の代表は歯周病です。
歯周病は、歯周病菌が原因で起こる感染症で、歯肉や歯槽骨に炎症を起こし、悪化すると歯を失ってしまうこともあります。
歯周病の治療を受けて適切にコントロールできていない方では、10年後の残存率が、上顎下顎ともに5%前後低下します。

このほか、歯ぎしりや食いしばりなどの噛み合わせの癖も歯科的なリスク要因として挙げられます。

日常生活上の要因

日常生活上の要因

日常生活上のリスク要因としてまず挙げられるのが、喫煙習慣です。
タバコを日常的に吸っている方は、そうでない方と比べると10年後の生存率が上顎下顎ともに10%ほど低下します。

まとめ

今回は、インプラントの予後についてお話ししました。
インプラントは、適切に管理すれば10年後の生存率が90%以上と高い数値を示しています。
治療を受ける側の骨の質や厚みなどの条件の違いがあるということを考えても、予後はかなり良いと言っても間違いではないでしょう。

実際、1965年に世界で初めて現在の方法と同じ方法で治療を受けた方は、2006年に亡くなるまでインプラントが機能し続けたそうです。

予後はかなり良いのですが、不具合が決して起こらないというわけではありません。
治療を受ける場合は、予後の説明もしっかり受けていただくことがとても大切です。

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